ダリアは、大輪の豪華な花からころんと丸いポンポン咲きまで、多彩な花姿で初夏から秋の庭を彩るキク科の球根植物です。赤や白、黄色、ピンク、複色、黒赤色など花色も豊富で、品種は3万種以上あるといわれています。
「背が高くなって倒れないか心配」「冬の寒さで球根が枯れてしまうのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、球根の植え付け方や支柱立て、冬越しのポイントを押さえれば、初心者でも美しい花を咲かせられます。この記事では、鉢植え・地植えそれぞれの育て方から夏越し・冬越し、増やし方、よくあるトラブルの対処法まで詳しく解説します。
| 植物名 | ダリア |
| 学名 | Dahlia |
| 英名 | Dahlia |
| 和名 | テンジクボタン(天竺牡丹) |
| 科目/属性 | キク科テンジクボタン属(ダリア属) |
| 原産地 | メキシコ・グアテマラ |
| 性質 | 非耐寒性球根(多年草) |
| 草丈 | 20cm~2m(品種による) |
| 日当たり | 日当たりの良い場所を好む |
| 生育適温 | 15~25℃ |
| 耐寒性 | 弱い |
| 耐暑性 | 弱い |
| 水やり | 鉢植え:土の表面が乾いたらたっぷり 地植え:基本的に降雨任せ(乾燥が続くときは水やり) |
| 肥料 | 植え付け時:緩効性肥料(元肥) 生育期~開花期:追肥 |
| 開花時期 | 6月~11月(見頃は10月頃) |
ダリアの特徴
ダリアはメキシコ・グアテマラ原産のキク科の植物で、日本では初夏から秋にかけて開花し、10月頃に見頃のピークを迎えます。一般的に「球根」と呼ばれる部分は、正確には根が肥大した「塊根(かいこん)」で、ここに水分や養分を蓄えています。寒さで地上部が枯れても、塊根が生きていれば翌年また芽を出して花を咲かせる宿根性の植物です。
日光を好む一方で、高温多湿や霜には弱い性質があります。色ごとに異なる花言葉もあるので、お気に入りの色を選ぶ参考にしてみてください。
ダリアの種類
ダリアは花の咲き方によっていくつかのタイプに分けられます。花びらが平たく重なる「デコラティブ咲き」、花びらが細く外側に巻く「カクタス咲き」、小さな球状に咲く「ポンポン咲き」、中心の周りに小さな花びらが襟のように並ぶ「コラレット咲き」などが代表的です。花の大きさも、超巨大輪から小輪、ミニチュアまで幅広くあります。
大輪種は見応えがある反面、風の影響を受けやすく支柱が欠かせません。中小輪種は大輪種に比べて管理がしやすいため、初めてダリアを育てる方は中小輪種から始めると失敗しにくいでしょう。
ダリアの寄せ植えと相性の良い植物
草丈が高くなりやすいダリアは、花壇の中央から後方に配置すると全体のバランスが良くなります。株元には、スイートアリッサムやロベリアなど草丈の低い草花を合わせると華やかな印象になります。日当たりと水はけの良い環境を好む植物同士を組み合わせるのが基本です。
アリッサムやロベリアなどおすすめの組み合わせ
寄せ植えにする場合は、次のポイントを押さえておきましょう。
- 鉢植えの寄せ植えでは、直径30cm以上の深型プランターを使う
- ダリアを中央または後方に植え、手前に草丈の低い草花を配置する
- 水はけの良い用土を使い、株間をあけて風通しを良くする
- ダリアの根の生育を妨げないよう、根張りが控えめな植物を選ぶ
株が混み合いすぎると蒸れの原因になるため、ゆとりを持った配置を心がけましょう。
ダリアの基本的な育て方
次に、ダリアの基本的な育て方を解説していきます。
- 日当たりと置き場所
- 栽培温度
- 水やり方法と頻度
- 肥料の与え方
- 夏越し方法
- 冬越し方法
- 北海道など寒冷地での冬越しと球根の掘り上げ
それぞれ見ていきましょう。
日当たりと置き場所
ダリアは日光を非常に好む植物です。半日以上直射日光が当たる、屋外の風通しの良い場所で育てましょう。日照不足になると花つきが悪くなるだけでなく、茎がひょろひょろと伸びる「徒長(とちょう)」の原因になります。
栽培温度
ダリアの生育適温は15〜25℃くらいです。高温多湿が苦手で、真夏の猛暑期には生育が鈍り、花色が薄くなったり一時的に花が休んだりすることがあります。また、霜や土の凍結にも弱く、塊根が凍ると腐って枯れてしまいます。
水やり方法と頻度
鉢植えは、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。地植えは基本的に降雨だけで育ちますが、晴天が続いて土が乾いているときは水を与えましょう。
真夏は日中の水やりを避け、朝の涼しい時間帯か夕方に与えること。真夏は朝の涼しい時間帯に水やりをしましょう。高温多湿の環境や水の与えすぎは、根や球根の腐敗につながるため、水はけにも注意が必要です。
肥料の与え方
植え付け時に、緩効性肥料を元肥として土に混ぜ込んでおきます。追肥は、生育初期、小さな蕾が見え始めた頃、夏の切り戻し後のタイミングで行うと花つきが良くなります。真夏の猛暑期は株が弱っているため、肥料は控えめにしましょう。
夏越し方法
ダリアは真夏の強い日差しと蒸れが苦手です。鉢植えは西日の当たらない場所へ移動し、地植えは混み合った枝や古い葉を整理して風通しを良くしましょう。暑さで花数が減った場合の切り戻しについては、後述の「夏の切り戻しと茎の腐敗を防ぐ雨よけ」で解説します。
冬越し方法
ダリアは寒さに弱く、霜や土の凍結には注意が必要です。比較的温暖な地域であれば、花が終わって地上部を切り取ったあと、株元を腐葉土やわらでマルチングすれば植えっぱなしで越冬できます。鉢植えは雨の当たらない軒下など凍結しない場所へ移動し、休眠中は水やりを控えて乾燥気味に管理しましょう。
北海道など寒冷地での冬越しと球根の掘り上げ
寒さに弱いダリアは、北海道など冬に土が凍る寒冷地では、霜が降りる前に球根を掘り上げます。地際から10cmほど残して茎を切り、球根を傷つけないように掘り上げたら土を落とし、風通しの良い日陰で数日乾燥させます。乾いた球根はおが屑やバーミキュライトに埋め、凍結しない冷暗所で春の植え付けまで保管しましょう。
ダリアの植え付けと土づくり
ダリアの植え付け適期は、霜の心配がなくなる桜の開花の頃(3月下旬〜5月頃)が目安です。地温が低いうちに植えると、発芽が遅れたり球根が傷んだりする原因になります。
- 球根の選び方と発芽点の確認
- 植え付けに適した用土
- 鉢植えと地植えそれぞれの植え付け手順
それぞれ見ていきましょう。
球根の選び方と発芽点の確認
球根は表面にハリがあり、傷やカビのないものを選びます。ダリアは茎の付け根にある「クラウン」と呼ばれる部分に発芽点があり、クラウンが付いていない球根は芽が出ないため、購入時や植え付け前に必ず確認しましょう。植え付けるときは芽が上を向くように、球根を横向きや斜めに寝かせて浅めに植えるのがポイントです。
植え付けに適した用土
ダリアは水はけと水もちのバランスが良い土を好みます。鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使えば問題なく育ちます。地植えの場合は、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰をまいて酸度を調整し、1週間前に腐葉土や堆肥、元肥をすき込んで土を整えておきましょう。
鉢植えと地植えそれぞれの植え付け手順
鉢植えは、塊根が大きく広がるため1鉢1株が基本です。中大輪種は直径30cm(10号)以上の深さのあるプランターを選び、鉢底石を敷いて水はけを良くしてから植え付けます。地植えは土を深く耕し、株間を大輪種で60cm、中小輪種で40cmほど広く取りましょう。覆土は大輪種で約10cm、中小輪種で約5cmが目安です。
ダリアの美しい花を咲かせる仕立て方とお手入れ
ダリアの花をより美しく咲かせるためには、支柱立てや仕立て方などのお手入れも大切です。
- 倒伏を防ぐ支柱立ての重要性
- 摘芯や天花仕立てなど品種に合わせた仕立て方
- 夏の切り戻しと茎の腐敗を防ぐ雨よけ
それぞれ見ていきましょう。
倒伏を防ぐ支柱立ての重要性
ダリアは草丈が高くなる品種が多く、茎の中が空洞で折れやすいうえ、開花期には花の重みも加わって倒れやすくなります。植え付け時や草丈が30cmほどに育つ成長初期のうちに支柱を立てておくことが大切です。伸びた茎はひもで8の字にゆるく結んで優しく固定し、強風による倒伏や茎折れから守りましょう。
摘芯や天花仕立てなど品種に合わせた仕立て方
大輪系の品種は、芽先を摘まずに伸ばして頂点の一番花に栄養を集中させる「天花仕立て」にすると、見応えのある大きな花が咲きます。一方、中小輪系の品種は、本葉が5〜6節ほどに育った頃に先端の芽を摘む「摘芯仕立て」がおすすめです。脇芽が増えて枝数が多くなり、たくさんの花を楽しめます。
夏の切り戻しと茎の腐敗を防ぐ雨よけ
夏の暑さで株が弱り花数が減ってきたら、7月下旬〜8月上旬を目安に、下から3〜4節を残して茎を短く切り戻します。秋には新しい枝が伸びて再び花を咲かせます。ダリアの茎は中が空洞のため、切り口から雨水が入ると茎が腐る原因になるので、切り口を乾燥させ、アルミホイルをかぶせるなどして雨よけをしましょう。
ダリアのよくあるトラブルと対処法
ここでは、ダリアを育てる際によくあるトラブルと対処法を紹介します。
- 花が咲かない
- 芽が出ない・球根が腐った
- 茎が倒れた・折れた
- 元気がない
花が咲かない
日照不足や肥料の過不足、真夏の高温が主な原因です。特にチッ素分の多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂って花がつきにくくなります。日当たりの良い場所に移し、肥料のバランスを見直しましょう。真夏は一時的に花が休むため、涼しくなる秋を待つことも大切です。
芽が出ない・球根が腐った
発芽点(クラウン)のない球根を植えた、地温が低い時期に早植えした、水を与えすぎた、冬の保管中に凍結や過湿で傷んだなどが考えられます。腐った球根は回復しないため処分し、健全な球根を植え直しましょう。
茎が倒れた・折れた
強風や花の重みで茎が途中から折れた場合は、折れた節のすぐ下で切り取り、下から伸びる脇芽を育てます。切り口は茎の空洞に雨水が入らないよう、アルミホイルなどでふさいでおきましょう。倒伏を防ぐためにも、早めの支柱立てを心がけてください。
元気がない
水の与えすぎによる根腐れや、真夏の蒸れ、ハダニの被害などが考えられます。水やりの頻度を見直して風通しの良い環境を整え、葉の裏に害虫がいないかも確認しましょう。
ダリアに発生しやすい病害虫と対処法
ダリアは、次のような病害虫が発生するときがあります。
- うどんこ病
- 灰色かび病
- モザイク病
- アブラムシ
- ハダニ
- ヨトウムシ・ナメクジ
発生した場合の対処法や予防について解説するので、参考にしてください。
うどんこ病
風通しが悪く湿度の高い環境で発生しやすく、葉の表面が白い粉をふいたようになります。発病した葉は早めに取り除き、株間を広げて風通しを改善したうえで、適用のある薬剤を散布しましょう。
灰色かび病
低温多湿の環境で、花や葉が水が染みたように傷み、灰色のカビが生えます。咲き終わった花がらや枯れ葉を放置せず、こまめに取り除いて株元を清潔に保つことが予防につながります。
モザイク病
葉にまだら模様が出て生育が悪くなるウイルス性の病気で、アブラムシが媒介します。治療法がないため、感染した株は早めに処分し、アブラムシの防除で予防しましょう。
アブラムシ
春先の新芽や蕾に群がって養分を吸い、モザイク病などのウイルス病を媒介することもあります。見つけ次第取り除くか、適用のある殺虫剤で早めに駆除しましょう。
ハダニ
高温で乾燥した時期に葉の裏に発生し、葉がかすれたように白っぽく変色します。葉の裏に霧吹きで水をかける「葉水」を定期的に行うと予防に効果的です。
ヨトウムシ・ナメクジ
夜間に活動して葉や花びらを食害します。夕方以降に株元を観察して見つけ次第捕殺し、必要に応じて専用の誘殺剤を使いましょう。
ダリアの増やし方
ダリアは、球根の分球や種まきで増やすことができます。最も確実なのは、親株と同じ花が咲く分球です。
失敗しない球根の分球手順
分球は、春の植え付け前に芽が動き出し、発芽点が見分けやすくなった頃に行います。ダリアの芽は球根ではなく茎の付け根(クラウン)から出るため、切り分けたそれぞれの球根に必ず発芽点が残るように、消毒した清潔なナイフで付け根から慎重に切り分けましょう。切り口を半日ほど乾かしてから植え付けると腐敗を防げます。
種から育てる方法と注意点
ダリアは種から育てることもできますが、種から育った株は親株とは異なる色や形の花が咲くことが多い点に注意が必要です。種まきは気温が上がる4月頃が適期で、育苗ポットなどにまいて乾燥させないように管理します。本葉が数枚に増えたら、鉢や花壇に植え替えて育てましょう。
ダリアを育てるときのよくある質問
最後に、ダリアを育てるときのよくある質問を4つ紹介します。
- ダリアの球根は植えっぱなしでも大丈夫?
- ダリアは毎年咲く?
- ダリアの栽培は難しい?室内でも育てられる?
- 切り花のダリアを長く楽しむコツ
ダリアの球根は植えっぱなしでも大丈夫?
温暖な地域であれば、冬に株元をマルチングすることで植えっぱなしでも越冬できます。ただし、数年そのままにすると球根が混み合って花が小さくなるため、2〜3年に一度は掘り上げて分球するのがおすすめです。土が凍る寒冷地では、毎年掘り上げが必要です。
ダリアは毎年咲く?
ダリアは宿根性の植物なので、球根が凍結や腐敗で傷まなければ、毎年春に芽を出して花を咲かせます。夏の暑さを上手に乗り越え、冬の寒さから球根を守ることが、翌年も花を楽しむためのポイントです。
ダリアの栽培は難しい?室内でも育てられる?
ダリアは日光を非常に好むため、日照が不足しがちな室内での栽培には不向きです。室内では茎がひょろひょろと徒長し、花つきも悪くなります。屋外の日当たりと風通しの良い場所に置き、支柱立てや水やり、追肥、夏の切り戻しといった基本のお手入れを守れば、初心者でも難しくなく育てられます。
切り花のダリアを長く楽しむコツ
ダリアは水が上がりにくい花のため、花瓶に生ける前に水の中で茎を斜めに切り直す「水切り」を行いましょう。花瓶の水は浅めにしてこまめに取り替え、そのたびに茎の先を少し切り戻すと、切り口の腐敗を防いで長持ちしやすくなります。
まとめ
ダリアは寒さや蒸れに弱い面はありますが、ポイントを押さえれば初心者でも美しい花を咲かせられる植物です。
- 植え付け時は発芽点(クラウン)を必ず確認し、芽を上に向けて浅めに植える
- 倒伏を防ぐため、支柱は植え付け時や成長初期に立てる
- 真夏の水やりは日中を避け、朝の涼しい時間帯か夕方に行う
- 切り戻し後は、茎の空洞に雨水が入らないよう雨よけをする
- 寒冷地では霜が降りる前に球根を掘り上げ、凍らない冷暗所で保管する
- 分球するときは、それぞれの球根に必ず発芽点を残す
- 室内栽培は避け、屋外の日当たりと風通しの良い場所で育てる
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